トロール網や深海調査船による深海底ごみの調査が、ここ10年あまり欧米を中心に頻繁に実施されてきた。その結果、人口の多い都市に近い海底にごみの量が多く、プラスチックの他にも漁網やタイヤなど産業廃棄物の割合が多いこと、地形的には海底谷などのくぼみに集積しやすい

admin2022-07-15  28

问题     トロール網や深海調査船による深海底ごみの調査が、ここ10年あまり欧米を中心に頻繁に実施されてきた。その結果、人口の多い都市に近い海底にごみの量が多く、プラスチックの他にも漁網やタイヤなど産業廃棄物の割合が多いこと、地形的には海底谷などのくぼみに集積しやすいことなどが報告されている。しかし大陸から遠く離れた外洋の海底においては、他のごみと比較してプラスチックごみの割合が圧倒的に多くなる。軽い使い捨てプラスチックは、海流によって人間活動からはるか離れた世界の海に運ばれるからだ。
    海洋表面のプラスチックは特定の海域に集積しやすいことが観測から明らかになっており、それらがさらに鉛直方向の海水の循環によって中層に沈むと考えられている。深海底がその終着点であるとすれば、これらの調査結果は、沿岸から外洋まで、表面のみならず中層から深海に至るまで、世界の海全体にプラスチックが分布している可能性を示している。深海の汚染は、全海洋の問題を写す鏡なのだ。プラスチック汚染が海洋生態系に与える影響は、漁網に絡まったイルカやアザラシ、またプラスチックの誤食で死亡したと見られるクジラや海鳥などの痛ましい映像を通じて一般に報道されている。(________)、深海生態系への影響についてはどうだろうか。
    興味深いのは、プラスチックが泥質などやわらかい海底には付着できないイソギンチャクのような生物に基質を提供することにより、生息域を拡大する機会を(________)。自然の状態ではいないはずの生物が侵入すれば、もとからある生態系を撹乱(かくらん)することになる。また、目に見えない微小プラスチックから溶出する有害な化学物質の深海生物への影響については、さらに不明な部分が多い。
    深刻な海洋プラスチック汚染ではあるが、改善にむけての希望はある。外洋のプラスチックは回収不可能と述べたが、(________)海に入る量を制限することによってこれ以上の汚染の拡大を防ぐことはできる。現在国際社会において、「Reduce(生産削減)、Reuse(再利用)、Recycle(リサイクル)」をスローガンに使い捨てプラスチック削減に対する運動の(________)がこれまでになく大きくなっている。
    2017年6月に初めての国連海洋会議が開催され、「健全な海(HealthyOcean)」の実現が国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成のための一つの旗印となった。30年までに達成すべき目標の一つはプラスチック汚染の軽減であり、17年12月には国連環境総会で加盟国のほとんどが目標達成に向けて努力する意思を表明した。UNEPは使い捨てプラスチックの軽減を目指しCleanSeasキャンペーンを展開し、欧州各国や主要な海洋プラスチック汚染源とされているアジア諸国においても、使い捨てプラスチックの生産制限など法制面での対応が急ピッチで進んでいる。残念ながら、日本はプラスチック汚染対策の政策面で現在世界に後れを取っており、海洋立国として今後の迅速な対応を期待したい。
    そのような(________)の働きかけに加えて、この機運を新たなビジネスチャンスとして技術.商品開発を進める企業や起業家、市民のネットワークによるリテラシー活動やビーチクリーンなど(________)の動きも目覚ましい。市民意識の向上には、プラスチック汚染の実態をショッキングな映像とともに訴えたドキュメンタリー「プラスチックオーシャン」や、全英で年間トップ視聴率を上げた自然科学番組「ブループラネット」などメディアの影響力も大きい。
    プラスチック汚染問題への対応が、国際的に(________)(________)の両方から着々と進んでいるのは好ましいことだ。しかし政策決定に科学的知見が十分に生かされているかというと、(________)現時点では政策先行である。海洋プラスチック汚染は陸から海に入れば国境を超えて世界中に広がるが、いったん外洋に運ばれたそれらのごみが海中に沈み、深海に運ばれ、特定の場所に集積する過程、またその過程でどのように分解されるのかについてはよく分かっていない。海は広大であるから限られた予算.時間で効率的に成果をあげるためには、国際社会が共同でプラスチックの主要な汚染源から集積海域や海底に至る経路を明らかにした上で、それらの高リスク海域と深海生態系を含む生物多様性のホットスポットの関わりを考慮して、保護管理や監視体制の優先順位をつけることが肝要である。そのために必要なのが科学的知見なのだ。またすでに述べたように、目に見えない脅威である微小なプラスチックに関してその分布を決めるメカニズムや生態系への影響に関して不明な点が多く、最優先で(________)である。
    海洋プラスチック汚染に関わる科学者は、異なる予算、異なるプロジェクトの目的に基づき、世界のあちこちの海でさまざまな手法で独自の調査を実施してきた。(________)今、それらのプロジェクトが手を組んで、地球規模で使い捨てプラスチックや微小プラスチックの観測を実施し、データをシェアするためのプロトコル作りが始まっている。海洋プラスチック汚染の軽減にむけて、そして「健全な海」を未来に向けて共有するために、海洋科学者の責任は大きい。
    (千葉早苗『深海1万メートルにポリ袋:深刻化するプラスチックごみ汚染』による。設問の関係上、本文を改めたところがある)
    注:
    ①JAMSTEC(=Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology):海洋研究開発機構
    ②UNEP(=United Nations Environment Programme):国連環境計画
ここの(________)に入る最適な語句は何か。

选项 A、おあつらえむけに
B、幸いなことに
C、残念ながら
D、よきにつけあしきにつけ

答案C

解析 政策的决定不知是否充分发挥了科学的见解,但遗憾的是目前以政策优先,故选项C正确。
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